INICIAR SESIÓN「洗礼式、早く始めてくださいよー」
ミィシェリア様が再びわたしの頭の上に手を置いたまま、特に何もせずに数分が経過していた。
「これで洗礼式を終わります。アリシア、あなたは女神ミィシェリアの名のもとに洗礼を受け、仮成人となりました。おめでとうございます」
「へ? 終わり? さっきみたいなぐわーって熱くなったり、なんか光がパーっとなったり、天井から天使が舞い降りてきたり、女神の祝福のキスとか……そういうのないんですか?」
「ありませんね。洗礼式はあなたの内側にある鍵を開けるだけですから、私から付与するものは何もありません」
なんだーそれー。期待して損したー。演出弱いなー。ゲームだったらここでプレイやめてるよ?
「洗礼式って地味なのね……」
「洗礼式とは本来厳かに行うもの。地味でけっこうです。それよりも、ステータスを開くことができるようになっているので確認してみなさい」
ミィシェリア様はわたしの頭から手を離す。
おお、そっか。ステータス解放されてるんだ!「えーと『システムコール:ステータス』オープン!」
さっそく教わっていた呪文を唱えてみる。
って、前世の記憶が蘇った今だからわかることだけど、システムコールって、なんかゲームのプログラムみたいね……。とか考えていると、目の前にステータス画面が広がって見えてくる。拡張空間ってやつ?
「おー! ホントに出た! ゲームみたい!」
「そうですね。あなたの前世の記憶ではこのような画面を日常的に見ていたようですから、馴染みがあるのでしょう。数値はどうですか?」
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アリシア=グリーン 種族:人族 Lv.10 HP:200 MP:100 STR≪筋力≫:2 VIT≪体力≫ :5 DEX≪器用≫:7 AGI≪敏捷≫:3 INT≪知力≫:7 LUK≪幸運≫:3 スキル:なし --------------------------「正直めっちゃ弱い……気がします。全部1桁だし。感覚的には生きていくのがやっと、みたいな?」
軽くショックだわー。異世界転生したら、数値がカンストしていて今すぐでも魔王が倒せるー、みたいな感じじゃないの?
普通の10歳ならこんなもんでしょうね、って感じのステータスだよ。
しいていえば、ちょっと頭が良くてちょっと手先が器用? うん、普通に自覚あるもん。サンスのバカよりは頭が良いし、口では負けない。ママの手伝いをしてるから、裁縫は得意だし手先は器用なほうだと思う。うーん。でもこれでは魔王は倒せない。
「洗礼を受けたばかりの仮成人は、みなさんそれくらいの数値ですよ。日常から訓練を行っていなければ、レベルはおおよそ年齢を重ねるごとに1レベル上がります。HPは20程度、MPは10程度。ですので、アリシアはごく平均的なステータスです。悲観することはありません」
「異世界から来たなら、もっとこう、なんかあるでしょう⁉ チートステータスで魔王と巨乳をワンパンしたいのー!」
「ワンパンって……。あなた、魔王と巨乳に何か恨みでもあるんですか?」
ミィシェリア様の困り顔……なんかそそる。縛り上げて恐怖に震える姿をもっと見たい。そんでもって家に連れて帰って嫁にしたい。巨乳の嫁……ぐへへへへ。
「笑顔が気持ち悪……10歳の女の子がしていい表情ではありませんよ。気をつけてください」
「あー今いたいけな少女に向かって笑顔が気持ち悪いって言ったー! ショックー。PTSDになりそー。あーあ、ミィシェリア様ってそういうこと言うんだ……宗旨替えしよう……やっぱりスークル様のところに行ってチート能力もらおうかな。そうしよー。はーい、お世話になりました!」
ミィシェリア様に背中を向けて歩き出す。
スークル様も美人だといいなー。嫁に来てくれないかなー。「ちょっと待ちなさい! そんな勝手なこと! よりにもよってあの筋肉ゴリラのところになんて!」
筋肉ゴリラ? スークル様、マジ?
戦いの女神だから鍛えまくってるのかな? 筋肉ゴリラは嫁には無理か。しかたない、わたしが嫁になるほうでいくかー。「まだステータスに関する説明は終わっていませんよ。嫁の話は忘れて、いったん落ち着きなさい。今表示されているのが現世でのあなたのステータスです」
「と言いますと?」
ミィシェリア様のほうをちらりと振り返る。
もしかして、何かうまい話でもありますかね?「そのステータスに、前世で獲得した経験がポイント換算されて与えらえることになっています」
「おお! やった! 異世界転生ボーナスだ!」
なーんだ。もったいぶってさー。性格悪いよー? そういうことは早く言ってよね。
勝ったな! これで無双できる! ガッハッハ!「無双できるかは知りませんけれど……。あなたが前世で亡くなった年齢は21歳でしたね。世界情勢はおおむね平和。ということは、標準換算で年5ポイントとして、105ポイントを付与いたしましょう」
ミィシェリア様がわたしに向かって手をかざそうとしてくる。
平和⁉ 標準⁉「ちょちょちょ、ちょっと待ったー!」
このまま進めてなるものか!
待ってろ! わたしの異世界チート生活!「アリシアよ、我のものになるが良いぞ」 マーチャン様、もとい、マーナヒリン様が手を差し伸べてこられた。 めっちゃ笑顔……。 いざ女神様ですって言われて見ると、そこはかとなく気品を感じて……でもとにかくやっぱり超絶美少女だね! ロイスとは違った美しさよねー。これが人ならざる者の美しさなのかな。 だけど――。「我のものって言われてましても……」 さすがに躊躇しちゃうよね。ミィちゃんはあんなふうに言っていたけれど、本心はどうかなー。独占欲強そうだし。「我ら女神にそのような感情はないぞよ」 ぞよ……。 ああ、マーナヒリン様も心が読めるのね。 女神様はみんなそうなのかな。「汝を気に入った。だから我も加護を与えたい。ただそれだけなのじゃよ」 じゃよ……。 美少女でその語尾はずるい! なんかかわいくて抱きしめたくなっちゃう!「抱きしめてもよいぞ。我なら写真を撮っても、販売してもミィシェリアと違って怒ったりせぬぞ」『私も怒ったりはしていません! ですが派手に目立ちすぎるのを避けるために……』 あ、結局ミィちゃんも会話に参加するのね。 まあそのほうが早いかな。 でもさっきからソフィーさんがなんかオロオロしてるんですけど……。「おおそうか。ソフィー。今アリシアと大切な話をしておるから、部下を連れて下に行っていてくれるか?」「はい。かしこまりました……」 うぉ? ソフィーさんと天使ちゃんたちの目が急に虚ろに。 ゾンビみたいに歩いてVIPルームから出ていっちゃった……。「人払いは済んだぞよ」 うわー。やっぱり何かしらの力で人を操ったんだ! こわっ!「我はアリシアのすべてを受け入れるぞよ。我の裸の写真が撮りたいのか? 良いぞ。遠慮するな」 え、マジ? いいの? 何も言っていないし、今そんなことはちょっとも思ってもいないんですけど……。でも撮っていいなら……。『マーナヒリン! それはさすがにダメです』「冗談じゃよ。あいかわらずミィシェリアは固いの」「おっぱいは柔らかいのにね」「けしからんの」「けしからんの♡」 マーナヒリン様ってばノリがいい! ちょっと好きかも♡『2人して……。アリシア、女神が加護を与えると言っているのです。それは断るものではありませんよ。喜んで受け入れればそれで良いのです』 ふーん。そういうものかあ。
「それで、この踊りはどのように楽しめばよいのじゃ?」 チームドラゴンの演技を見ながら、マーチャン様が梅酒のグラスを傾ける。丸い氷がグラスの中でカランと音を立てた。 あんまり興味ない感じかなー。ソフィーさんと話をしているほうが楽しそうに見える。「お店のサービスの1つでございますので、お好きなようにご覧いただければ幸いです」「お好きなようにとはどうしたらよいのじゃ? 我にはわからんのじゃ」「そうですね。横目に見ながらお話を続けていただいてもけっこうですし……。わたしでしたら……この柔らかな音楽に合わせて踊る彼らの手足の動きに色気を感じてつい見つめてしまいますね」「色気とな。汝はあの3人の誰かが好きなのか?」 グラスをテーブルに置き、グイと顔を近づけてくる。興味津々といったところかな。どうやら恋愛話が好きな人みたいね。「いいえ、そういうことではなく……。えーと、一般論としてですね。男性のしなやかな動きに美しさと尊さを感じると言いますか……。ずっと見ていたいな。あの筋肉に触れてみたいな……となりませんか?」 なりますよね⁉ マーチャン様も女性ならちょっとはわかりますよね⁉「ならんの~。これっぽっちもならんの。我は未発達な体のほうが好きじゃ」 なんと……。あ、ああ……お気に入りの天使ちゃんたち、わたしと同い年くらいの新人ちゃん2名だったわ。マーチャン様ってば、ショタ好きでしたのね……。自分もロリロリなのに。「さ、さようでございましたか。では……わたしが少し踊りましょうか。なんちゃって」 ショタじゃないけど未発達な体……って誰がまな板幼女だっ!『交渉』スキルの持続効果のおかげで、容姿・体型ともにけっこう良い感じに成長してきてるわっ!「おう。それは見たいの。我はアリシアのことは気に入っておるぞ。ちと踊ってみせよ」 マジですかい。 まあ、それで楽しんでいただけるなら別にかまいませんけれどもね。 「かしこまりました。それでは失礼してわたしも舞台へ。どうぞごゆるりとお楽しみくださいませ」 恭しく頭を下げてから、わたしは3人のもとへ滑り出していく。 大きな動作で滑りつつ、3人それぞれと順番に絡んでいき、小声で事情を説明する。少し演技構成を変えて、わたしを中心にお願いね。 BGMチェンジ! ワルツで行こう! さあ見て。わたしたちの演技。チームの
「それで私言ってやったのよ~。あなたとはもう終わったのよ! 話しかけないでちょうだいって!」「おお、はっきり言ってやったのじゃな。それで、相手はどうなったのじゃ?」「それがね。泣くんですよ~。『あの愛し合った日々が忘れられない。俺を捨てないでくれ』って。男らしくないったらありゃしない」 うーむ。ソフィーさんもガンガンにお酒飲んで酔っ払っていらっしゃる……。 マーチャン様が楽しそうだからまあいいんだろうけど、VIPルームってこういうものなのかな? わたしが想像していたものとずいぶん違う……。 なんかほら、アタッシュケースに金貨がぎっしり入っていてさ、サングラスをした男が「確かに、1万枚の金貨を受け取りました。おーい、山田君、例のモノをお持ちして」「かしこまりましたー」「それではですね、そのかつらとサングラスをしていただいて、わたしたちは殺し屋の集団ということになります。わたしが先輩、みなさんが後輩です。『わたしが、おや、そんなに急いでどこに行くんだい?』と後輩のみなさんに声をかけますから、続いてお答えください」って感じのやつを想像してたんだけどなー。「それでね。そいつったら、往来の真ん中で突然服を脱ぎだしちゃって~」「それは傑作じゃの!」「『こんなところでみっともないからやめなさい』って言ったら、『じゃあ最後に1回だけ』って、まさかの体目当てだったのよ~。最低な男よね♡」「それは最低じゃの!」 いや、何の話よ……。 酔っ払いの会話やばいね。『アリシア? こちらロイス。聞こえたら返事どうぞ。オーバー』 お、ロイスから連絡だ。 どうしたんだろ。「こちらアリシア。聞こえてますよ。オーバー」『良かったわ。こっちは無事ローラーシューズショーが終わったわよ。みんながんばってた! お客様も大盛り上がりで大成功だったわよ!』 ロイスのテンションが高い。 それだけうまく行ったってことかな。良かった良かった。「報告ありがとう! うまくいったみたいで良かったわー。初回なのに見てあげられなくてごめんってみんなに謝っておいてくれる?」『うんうん。伝えとくね。セイヤーがね「暴君幼女がいなくてももう大丈夫っす」って言ってるわ』「ほう、そうかそうか。セイヤーはあとでわたしがどれくらい暴君かを体にわからせてやらないといけないようだね」『あ、セイヤーが逃げた
「え、何? ソフィーさんが呼んでるの? 3階のVIPルーム?」 ホールに向かってローラーシューズで滑っていたところ、天使ちゃんに呼び止められた。「もうすぐローラーシューズショーなんだけどなー。なんかトラブル?」「はい、どうやらお客様が暴……アリシアちゃんを呼んでいるみたいで」 ギリ許す。キミにはアメちゃんを上げよう。「お客様かー。それはしかたないね。いきます。でもちょっと待って」 しまったなー。体が2つほしい。コピーロボットの開発を本気で進めなければ……。 でも今日のところはこれでなんとか指示を――。 アイテム収納ボックスから開発したばかりのヘッドセットを取り出して装着する。 うまく使えるかな?「あー、あー、マイクテストマイクテスト。こちらアリシア。控室、聞こえますか?」 どうかな。……反応ないな。「こちらアリシア。声が聞こえていたら、緑の〇ボタンを押して通話を開始してください。オーバー?」『……れ、ですね。もしかしてトランシーバー? こちらロイス、聞こえますか? オーバー?』「お、ロイス。さすが! そう、トランシーバーだよ。こっちの声は聞こえてる?」『ええ、クリアに聞こえています。アリシア、あなたこんなものまで作っているの?』「機械類は得意分野なのー。学生時代にちょっとね。だけど魔石って便利ね。音声を集積して電波に変えて飛ばすこともできたのよー。まあ、でも電波が届く範囲は狭いから、せいぜい店内くらいの範囲にはなっちゃうけどね」『それはそれは……。それで何か用事?』「ああ、そう。ちょっとトラブルみたいで、VIPルームに行かないといけないの。だから20時のローラーシューズショーに立ち会えないと思う」『大丈夫、かしら……。みなさん平気?』 さすがにちょっと不安そう。 ロイスが3人の反応を確認してくれているみたいね。『闘魂注入されたからいけるって』「よろしい! 良い返事だ! みんなの活躍に期待してるよ!」『私に何かできることはある?』「そうねー。3人を送り出してくれると助かる」『送り出す?』「そう、送り出すー。ほっぺにキスして『がんばって♡』ってやつー」『うそでしょ⁉ あなたいつもそんなことやってるの⁉』「じゃあ頼んだよー。急いでいるから通話終了。オーバー!」『あ、ちょ――』 はい終了。 顔を赤くして慌てふ
VIPのお客様のお相手は、ソフィーさんとマーチャン様のお気に入りの天使ちゃんたちに任せてーと。わたしは調理場の様子と1階のホールの様子も確認しないとね! プロデューサーさんは大忙しなのだ!「どうやってるー? 機械の調子はどうかしら?」 夜の間、ナゲットクンの機械はお休みさせているけれど、他の機械は稼働しっぱなしにしているのです。大盛況だから、製造し続けておかないと明日売るものが足りなくなってしまう恐れがありまして。「はい。順調です。肉の裁断機は正常に動いています。油の温度調節も正常です。オーブンも正常に動作しています」 調理場の天使ちゃんたちはとってもまじめ。 時間ごとにしっかりとシフトを守って働いてくれている。「報告ありがとう! サポートロボットの調子はどうかしら? ちゃんと役に立ってそう?」 重いものを運んだり、料理をサーブする補助のために、ホールの天使ちゃんたちに1人につき1体のサポートロボットをつけてみたのでした。個人認証させて自動追従するシステムだよー。高速で移動しても汁物をこぼさない重力制御搭載! キッチンから天使ちゃんが手で運ぶよりも事故がなくて安全!「ええ、そちらも今のところとても順調のようです。ホール係の話によると、『丸っこくてかわいい』とお客様からも好評をいただいているようです」 でしょうでしょう♪ 皇帝ペンギンの皇ペンちゃんですよー。ローラーシューズでシューっと滑っていく姿がペンギンっぽかったので、外見もかわいらしくしてみたよ♪ ゆくゆくはグッズ化! とりあえず表のガチャガチャに皇ペンちゃんグッズを入れてみて世の反応を見てみるか……。「お席が60分制になっていますから、料理の待ち時間を極力減らすことを心がけていきましょうね。注文したらサッと料理が出てくる。お食事に満足してすぐに帰っていただく。そして次のお客様をお迎えする。大変ですけど短い時間でお客様に満足していただけるように、しっかりとおもてなしをよろしくお願いします!」「「YES、暴君幼女!」」「おい、声を揃えて暴君幼女って呼ぶなっ! ホントに暴力振るうぞ! わたしの全力パンチはホントに痛いからなっ!」 こぶしを振り上げると、天使ちゃんたちが笑いながら散り散りになって逃げていく。 まったく、悪ふざけが過ぎるわ! 君たちのまかないは1品減らす! さて、次は
「マーチャン様、本日は龍神の館にお越しいただき、誠にありがとうございます」「うむ。約束通りきてやったぞよ」 あ、プレオープンセレモニーの時の小さなお客様だ! 約束してたっけ⁉ 今日も鮮やかな緑色のマントをすっぽりかぶっちゃって……ちょっと怪しい人よね。「これはこれはマーチャン様~♡ いつもご贔屓にしていただきありがとうございます♡」 ソフィーさんが大歓迎、といった具合に膝をついて両手を広げる。幼児を出迎えるパパ? 貴族じゃないけれど常連さんなのよね、きっと。 あれ? でもお連れの方は……?「うむ。今日も楽しませてもらうぞよ」「本日からリニューアルオープンですから、今までよりも一層ご満足いただけると思いますわ。本日は3階の特別な個室をご用意しておりますの。オホホホホ」「うむ。プレオープンのパーティーは大変満足じゃった。今宵も期待しておるぞよ」 上機嫌なのは良いけれど、子どもなのにまるで仙人みたいなしゃべり方ね。店に入ってもマントをぜんぜん脱がないし。「さあさ、3階までお運びいたしますね。失礼して~」 ソフィーさんがマーチャン様を片手で持ち上げると、なんとそのまま自分の肩に乗せる。マーチャン様の体がいくら小さいからって、それは失礼には当たらないの? マントの色的に、まるでオークの肩に止まるオウムみたい。「ほう? おぬしもローラーシューズとやらが使えるのか。めいっぱいスピードを出すがよいぞ!」「言いましたね? 後悔しても知りませんからね。飛ばしますわよ~!」 オークとオウムが笑い合いながら階段を登っていく。なんかすっごい仲良さげ……。ていうか、これは何を見せられてるの? ディスカバリーチャンネル?「あ、置いてかれた……。ほら、あなたたちもぼーっとしてないで、準備にとりかかるー! VIPのお客様をお待たせしないよー!」 わたしの隣で階段を眺め続ける天使ちゃんたちにはっぱをかけて、わたしも後を追うことにした。* * * なんとか3階のVIPルームの入り口で2人に追いつく。「本日のコース料理ですが……3名様でご予約をいただいておりまして……お連れ様をお待ちしてからスタートなさいますか?」 普通にお1人のまま部屋まで来ちゃってるけど、待ち合わせはお店の中なのかな?「アリシア、マーチャン様はこのままで大丈夫よ。すぐに始めちゃってちょうだい
「アリシア=グリーン。10歳のお誕生日おめでとうございます」「あ、ありがとうございます……女神……様」 わたしは頭を垂れ、跪いたまま冷や汗ダラダラだった。 やばい。女神様の名前、度忘れした……。 なんだっけ……。 ここパストルラン王国では、七神の女神が信仰されている。10歳の誕生日に七神いずれかの女神に礼拝し、洗礼を受けることになっているのだけど、だけど……。 わたしが洗礼を受けるのは……えっと、愛の女神様なんだけど……名前が……そうだ、ミィシェリア様! あっぶない、思い出したー!「女神ミィシェリア様。ご機嫌麗しゅう」「もし? 聞いていますか? あなたの名前はアリ
わたしのステータス、LUK≪幸運≫を上げただけなのに、どうしてこうなった?-------------------------- アリシア=グリーン 種族:転生人族 Lv.10 HP:3720 MP:1860 STR≪筋力≫:220 VIT≪体力≫ :181 DEX≪器用≫:183 AGI≪敏捷≫:223 INT≪知力≫:301 LUK≪幸運≫:150 スキル:なし --------------------------「ミィシェリア様……ステータスがおかしくなっちゃったんですけど」「とくにおかしいところはありませんよ。アリシアはLUK
「そのポイント、ちょっと待ったー!」「何ですか? 何かおかしなことがありましたか?」 ミィシェリア様が、わたしの頭のほうに伸ばした手を止める。 危ない。このままポイントを付与されてなるものか!「ミィシェリア様~。わたしの前世の記憶ってちゃんと見てくれましたあ?」 交渉だ! ここでがんばらないと!「はい、もちろん確認しましたよ。穏やかな環境でしたので、標準的なポイント計算で――」「そうじゃなくて! わ・た・し・の! 個人の記憶ですよー。ひどいものでしょう? 泣けちゃいますよね……。何一つ良いことがなくて……人生ハードモードだった上に暴走した車に轢かれて21歳(童貞)の若さで命を
「伝えにくいことって……」 はっ! もしかして、この間ボール遊びをしていて教会のステンドグラスを割ったから、罰が与えられる⁉「いいえ。私は女神ですから、そのようなことで怒ったりはしません。ですが、あなたはきちんと謝ることのできる大人になれると良いですね」「はい……ごめんなさい」 黙って逃げてごめんなさい……。「許しましょう。ですが、伝えたいのはそのことではありません」 あれ? ミィシェリア様って、さっきわたしの心の声に返事しなかった?「ええ、あなたの心の声は全部聞こえていますよ。私は女神ですから、信徒の心の声を聞くことができます。神と子の間に隠しごとはできませんから、裏表なく、清







